「会員制でね、会費を払えば、本当に体にいいものだけを使って生活できるようになるんだよ。安くはないよ。これはある意味、社会のためのボランティアだから。製造している組織の研究開発のサポートもしないといけない。熱帯雨林の保護にも役立つんだよ。

 來未も環境問題とか、興味あるだろ。地球や、子どもたちのために、何かしてあげたいと思わない。僕、來未のこと、今でも大好きだから、体にいいものを使ってほしいし、一緒に社会の役に立ちたいんだ」

 來未さんは戸惑った。そして恐る恐る確かめた。

「それって、もしかして…」

「〇〇〇〇〇だよ。知ってるかい」

 彼が口にしたのは、有名なマルチ商法の社名だった。膨らんでいた期待がしゅーっと音を立ててしぼんでいった。

「それって、マルチ商法だよね」

「そういううわさもあるね。だけど、決して悪いことはしてないよ。新しい会員を紹介すれば、紹介者にお金は入るけど、僕らがめざしているのはお金じゃなくて、いい製品を広めて世界に貢献することだから。

 ね、明後日都内のホテルでパーティがあるんだ。一緒に行かない。有名人とか財界の人とか来るんだよ。すごい景品があたるビンゴ大会もあるんだ。料理もいいし、人脈作りにも役立つよ」

 カバンから何枚も、チラシやカタログを出しながら説明してくるが、來未さんはもう何も聞きたくない。