仮にスポーツ推薦入試を経て大学に入った場合、そのことは就職の際にはどんな影響を持つのだろうか。小野氏は言う。

「採用する側の会社のスタンスによるところが大きいと思います。(学業面を不安視され)敬遠される可能性はなくはないですが、いまもなお体育会経験を好意的に評価する会社もあるでしょう。会社に対して従順であるとか根性があるとか、昔ほどではないにしても、まだそういった価値観は生きている。ただ、これからの時代は、学生アスリートが培ってきた能力やその価値というものが、より具体的に評価されるようになるといいなと思っています」

それでもなくすべきではないスポーツ推薦

 スポーツ推薦入試はこれまで述べてきたような問題をはらんではいるものの、その存在自体が否定されるべきものではない、と小野氏は見ている。

「スポーツで評価されて大学に入ることは批判されがちですが、それだけの評価に値する競技歴を残すことは勉強に劣らず大変ですし、競技者としての努力は間違いなくあるわけです。そもそも推薦入試は、一発勝負ではなく、(高校生活の)積み重ねを評価しようということで始まった制度。その主旨には合っているし、問題はその使われ方なのだと思います」

 今後、大学入試は大きく変わっていく。その改革の中で、現在のスポーツ推薦入試もまた見直しの対象となるかもしれない。

 公正性の担保はもちろんのこと、大学にとっての都合が優先されて学生が十分な自覚のないままに袋小路に追いつめられてしまう事態とならない運用のあり方を模索し、スポーツに青春を捧げる学生にキャリア選択の幅を与える制度であってほしい。

(本記事はVICTORYの提供記事です)