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「大勝負」UQモバイル野坂章雄社長 著者撮影

 格安スマホ市場が正念場を迎えている。

 特に昨年、NTTドコモが「2019年第2四半期に2〜4割の値下げを実施する。お客様還元額は4000億円規模になる」(吉沢和弘社長)と発表したことが大きい。これは「格安スマホに乗り換えず、キャリアを契約しつづけても安くなる」ということで、格安スマホの人気にかげりが出はじめているとみる向きもある。

 そんな中「UQモバイル」を展開するUQコミュニケーションズが新たな割引サービスを3月1日から開始する。格安スマホ会社が乱立する中、同社ならではのサービスで生き残りをかけてきたのだ。

 UQモバイルが提供するのは「ギガMAX月割」というサービスだ。

 同社では昨年10月30日から「ウルトラギガMAX」として、格安スマホとWi-Fiルーターの2台持ちを提唱してきた。通信料金は安いがデータ容量に制限のある格安スマホとともに、データ使い放題のWi-Fiルーターを組み合わせることで、出先などでも快適にネットを使える環境をアピールしてきた。

 今回、新たにサービスを開始する「ギガMAX月割」では、格安スマホとWi-Fiルーターをセットで契約することで、格安スマホ側の通信料金を毎月300円割引するというものだ。割引期間に制限はない。

 ギガMAX月割でUQモバイルがねらうのは自宅でもネットを使う家族層だ。

●家庭用ルーターとスマホをセットに

 UQモバイルでは「新規契約者のうち、4割が家族での加入となっている。2017年6月ごろより家族での加入が目立つようになった」(野坂章雄社長)という。つまり、格安スマホを家族で複数契約する傾向が増えてきたというのだ。

 格安スマホを契約したユーザーがUQ WiMAXのWi-Fiルーターを新たに契約したり、逆にWi-Fiルーターを契約しているユーザーが格安スマホデビューする際にUQモバイルを選ぶことが増えてきたという。

 そこにセット契約で格安スマホを毎月300円割引にする施策を展開することで、流れを加速させたいというわけだ。

 UQ WiMAXといえばモバイルWi-Fiルーターのイメージが強いが、最近はホームWi-Fiルーターの契約を伸ばしつつある。工事不要で、コンセントにつなげばすぐにネットが使えることから、学生や社会人などの一人暮らしだけでなく、家族での利用も広がりつつあるという。

 UQコミュニケーションズは、家族で格安スマホを複数台契約し、ホームWi-Fiルーターを組み合わせることで、自宅では使い放題でネットが使える点を訴求する。仮に3人家族でUQモバイルを契約し、ホームWi-Fiルーターを組み合わせれば、新たに始まる「ギガMAX月割」により、初年度は毎月9020円で、スマホと自宅用ネット回線の両方をまかなえるというわけだ。

 しかし、「家族まとめてお得」という訴求は、本来であればNTTドコモが得意とする市場だ。

●ドコモの料金プランはわかりにくいという指摘も

 NTTドコモの場合、家族でお得になるには、「お父さんが15年以上契約し、データ容量を家族でまとめ、docomo withといった特定のスマホを契約し、家族で割り算することで安くなる」という見え方となっている。そのため「NTTドコモの料金プランはわかりにくい」という指摘もある。

 野坂社長は「UQなら、シンプルに家族それぞれが安くなるのでわかりやすい。家族が増えたり減ったりするといった環境の変化も全く問題ない」と胸を張る。

 ただ「UQ WiMAXのWi-Fiルーターを家庭で使っても速度は堪えられるのか」という不安要素もあったりする。

 UQ WiMAXは「ギガ放題」としてデータ通信の使い放題となっているが、実際には「直近3日間で10GB以上、使った場合、翌日18時頃~深夜2時頃まで、通信速度が1Mbps程度になるという制限が存在するのだ。

 実は筆者は昨年秋、自宅に光回線がない状態となり、6週間ほど、UQ WiMAXのWi-Fiルーターを家庭用として使っていたことがある。

●UQモバイルはドコモ対抗の大勝負に出た

 その際、毎日のように速度制限状態であったのだが、アプリやOSのアップデートは昼間にしていて、動画も制限時間外に見るようにしていたら、あまり不満に感じることはなかった。実際、1週間の平均で100GBほど通信ができていたので、なんら不自由には感じなかったのだ。

 NTTドコモが「2〜4割値下げ」をチラつかせる中、UQモバイルはNTTドコモが得意とする家族市場に打って出る大勝負に出たというわけだ。


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筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。