新アイボはクラウド上のAIにより、オーナーが100人いれば100通りの個性を持ち成長していくのが特徴だ。アイボを成長させるためには、オーナーは本体を買うだけではなく月額課金のクラウドサービス、つまりサブスクを併せて利用する必要がある。

 単品売り切りモデルだった旧アイボとは大きく異なるこうした“セット販売”であれば、たとえアイボ本体の販売が伸び悩んでも、すでに確保した顧客から定期的に収入が発生し続ける。

 ソニーのサブスクにはさらに大きな強みがある。良質な個人データを取得できる点だ。

「人に近づき、顧客とじかにつながり、個人の興味の対象や趣味嗜好に密着したより深いデータを得ることが、メガプラットフォーマーにはできないソニーの生き残り戦略だ」と吉田憲一郎社長は言う。

 例えば、アイボから収集した膨大なデータを活用し、ユーザーのニーズを掘り下げた次世代サービス開発をしていけば、アイボは「永遠のベータ版」として進化を続けていくこともできる。ビジネス規模はまだ小さいが、その潜在力は侮れない。

 実際、アイボは2月中旬のアップグレードで“見守り犬”に進化する。登録した家族が部屋の中にいるかの安否確認をしてスマホに通知する、というものだ。6月にはアイボによる動画撮影サービスが追加料金で使えるようになる。

 かつて売り切りモデルの典型だったテレビ事業の巨額赤字でどん底に落ちたソニーは、継続課金モデルで復活した。

 ただ、モノの売り上げとサブスクの売り上げを統合した全体の収益管理などについてはまだ課題も多く、体系立てた管理システムを構築した日本の製造業はまだない。