いま、世界に起きている「パワー」の変化とその影響を鮮やかに読み解き、米ニューヨーク・タイムズ紙、英フィナンシャル・タイムズ紙など各国メディアで絶賛されている書籍が『NEW POWER これからの世界の『新しい力』を手に入れろ』だ。
著者は、ハーバード大、マッキンゼー、オックスフォード大などを経て、現在はニューヨークから世界中に21世紀型ムーブメントを展開しているジェレミー・ハイマンズと、約100ヵ国を巻き込み、1億ドル以上の資金収集に成功したムーブメントの仕掛け人であり、スタンフォード大でも活躍するヘンリー・ティムズ。
本書ではこれからの時代におけるパワーのつかみ方、権力や影響力の生み方、使い方について、まったく新しい考え方を紹介している。本記事ではその内容から、「ニューパワー」の正体とその使い方について紹介していきたい。

そもそも「ニューパワー」って何?

 本書は「NEW POWER」というじつにシンプルなタイトルだが、そもそも「パワー」とは、具体的に何のことを指しているのだろう? ……そう思う人もいるのではないだろうか。本書では、冒頭からバートランド・ラッセルの言葉を引いて、以下のように説明している。

「イギリスの哲学者バートランド・ラッセルの定義によれば、パワーとは『意図した効果を生み出す能力』のことだ。その能力をいま、僕たちは存分に手にしている。
 自分で映画をつくったり、友だちを増やしたり、お金をもうけたり、希望やアイデアを広めたり、コミュニティを形成したり、ムーブメントを起こしたりもできれば、偽情報を拡散したり、暴力を煽ったりもできる――そのスケールと潜在的な影響力は、ほんの数年前と比べても、はるかに大きくなっている」
『NEW POWER』より)

「POWER」をそのまま訳すと、力や権力、影響力という意味になるが、要は「意図した効果を生み出す能力」のことであり、著者たちは、テクノロジーの発展の結果、そうした「能力」のあり方が変わって、新たなパワー(=ニューパワー)が生まれていると言っているのだ。

 では、それは従来の力、つまり「オールドパワー」のあり方とどう異なるのか。

「オールドパワーの働きは『貨幣(カレンシー)』に似ている。
 少数の人間がパワーを掌握し、油断なく守り抜こうとする。権力者は強大なパワーを蓄えており、行使できる。閉鎖的で近づきがたく、リーダー主導型。オールドパワーはダウンロードして取り込み、獲得するもの。
 ニューパワーは『潮流(カレント)』のように広まる。
 それは多数の人間によって生み出される。オープンで一般参加型であり、対等な仲間(ピア)によって運営される。ニューパワーはアップロードして分配するもの。水や電気のように、大量にどっと流れるときに最大の力を発揮する。ニューパワーを手にする者たちの目的は、ため込むことでなく提供すること」(『NEW POWER』より)

オールドパワーとニューパワーの違いオールドパワーとニューパワーの違い(『NEW POWER』より)

 つまり、オールドパワーの時代のパワーは、権力者が貨幣のようにがっちりとため込むことができた。大きな組織のトップこそが、最もパワーを発揮できた。人を動かしたり、物を売ったり、お金を得たり、名声を博したり……といったことは、大きな組織の上に行けばいくほど容易になった。

 だがニューパワーの時代には、パワーはそのようにため込むことができないし、大上段から世間に一気に影響を与えることが難しくなった。メディアが多様化し、人々の興味が分散しているいま、資金にまかせてテレビや新聞に広告を大量投下したところで、かつてのように容易に人を動かすことはできない。

 一方で、ネットやSNSを巧みに駆使して、人との「つながり」をうまくつくりだし、参加意欲を刺激し、情報を広く拡散できる「ニューパワー」の担い手こそが、大きく影響力を広げている。