20世紀は、大手企業や政府などが権力を持つ「オールドパワー」の時代だったが、テクノロジーの発展の結果、いまや大組織がパワーを溜めこむことは不可能となった。21世紀は、個人でも際限なく大きな権力や影響力を持てる「ニューパワー」の時代だ。
世界に起こっているそうしたパワーの変化とその影響を鮮やかに読み解き、米ニューヨーク・タイムズ紙、英フィナンシャル・タイムズ紙など各国メディアで絶賛されている書籍が『NEW POWER これからの世界の『新しい力』を手に入れろ』だ。日本でも発売早々、ビジネス書書評メルマガ「ビジネスブックマラソン」(vol.5170)にて「今年最高の一冊」、いまの世界の変化に対応するための「救世主」と評されるなど、大きな話題となっている。
著者は、ハーバード大、マッキンゼー、オックスフォード大などを経て、現在はニューヨークから世界中に21世紀型ムーブメントを展開しているジェレミー・ハイマンズと、約100か国を巻き込み、1億ドル以上の資金収集に成功したムーブメントの仕掛け人であり、スタンフォード大でも活躍するヘンリー・ティムズ。
本書ではこれからの時代におけるパワーのつかみ方、権力や影響力の生み方、使い方について、まったく新しい考え方を紹介している。本記事では、その刊行を記念して一部を特別公開したい。

「見出し倒れ」はシェアされない

つい「シェア」してしまう記事とは?

 いまやバズフィードを知らない人はいない。「6つ質問に答えると住むべき都市がわかっちゃう!」というクイズの回答者数は1400万人にもおよび、「このドレス、何色に見える?」という記事(白と金か、青と黒かを問う)では、数百万もの人たちが議論した。

「いかにもオーストラリアっぽい単語トップ100」をシェアした人も多いだろう。

 食いしん坊の人なら、バズフィード主催のグルメ向けのフェイスブックコミュニティで、8500万超のフォロワーを誇る「テイスティ」(Tasty)をフォローしているかもしれない。クリエイティブな人なら、バズフィードのコミュニティが制作したコンテンツプラットフォームを利用して、自分でもバズフィード流のまとめ記事をつくっているかもしれない。

 なかには、大統領選からトランスジェンダーに関するものまで、賞を受けたさまざまな記事を読んだ人もいるだろう。同社は軽めのコンテンツで大成功したおかげで、重厚なジャーナリズムに投資できるようになったのだ。

 バズフィードは最初、軽く見られていた――とくに大手のメディアには。だが、もう誰もあなどれない。企業価値15億ドルと評価され、『ファスト・カンパニー』誌では「もっとも革新的な企業」ランキングに入ったうえ、「メディア界の羨望の的」と言わしめた。

 成功の要因は、読者に望みどおりの行動を起こさせること。バズフィードの第一の目的は、コンテンツを読んでもらうことではなく、シェアしてもらうことだ。編集長のベン・スミスはこう述べている。

「もしあなたの目的が――我々バズフィードと同じように――ものすごく斬新なことや面白いこと、あっと驚くようなことや楽しいことを読者に伝えて、シェアせずにはいられないと思わせることなら、奇抜な見出しに負けないよう、期待を上回る内容にする必要がある。これは非常に高いハードルだ。ただ読んで面白いのと、それをあえて友人にシェアするのとは、まったくの別問題だ。これは、シェアやフェイスブック、ツイッター、ピンタレスト、その他のSNSプラットフォームについての重要な事実だ」