ダボス会議に出席した
王岐山・国家副主席の基調講演
中国民主化研究とは中国共産党研究である。
本連載が一貫して保持する立場であり、視角である。問題はいかに中国共産党を研究していくかである。中国“数千年の歴史”、内政、経済動向、社会構造、人事、民族性、共産党の制度・システム・組織、人物像、国際関係などさまざまなアプローチができようが、筆者が大切にしているのが、中国共産党が公にする声明文や指導者による談話である。
それらが作成されるプロセスは基本的に公開されず、透明性にも極めて乏しい。政策立案や決定は基本的にブラックボックスの中でなされると言っても過言ではない。
しかし、公になったものは相当程度の部門間調整、利害調整、さらには激しい権力闘争を経た産物である場合が多い。従って、それらは我々が中国共産党を理解する上で、その真相に迫る上で極めて重要な素材を提供してくれている。
それらにコツコツと向き合い、継続的に解読していくことで、中国共産党がいま何を考え、どこからどこへ向かおうとしているのかの輪郭が浮かび上がってくる。少なくとも筆者はそう考えている。
上記の視点に立ち、本稿は1月23日にスイスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)に中国共産党を代表して出席した王岐山・国家副主席の基調講演と向き合ってみたい。
なぜ王岐山が
ダボス会議に赴いたのか
王岐山といえば、国家指導者を親族に持つ、俗に言うところの“太子党”であり、習近平国家主席とも近い存在にあるとされる。