パウエルFRB議長
約10年前の金融危機を抑え込むために打たれた金融政策の副作用が今、パウエルFRB議長を苦しめている
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「ペンキが乾くのを見守るのと同じくらい退屈なことになる」。従来、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部は、FRBのバランスシート縮小作業は市場にとって売り買いの材料にはならないと説明してきた。

 それ故、米国の株式市場関係者が昨秋ごろから「QT」を心配し始めたことに、多くのFRB幹部は内心かなり戸惑ったようだ。QTとは量的緩和(Quantitative Easting=QE)の裏返しである、量的引き締め(Quantitative Tightening)のことだ。株式市場参加者はFRBのバランスシート縮小によるQTが株価を下落させていると懸念した。

 それを受けて年初にジェローム・パウエルFRB議長は、状況次第ではバランスシート縮小停止があり得ると示唆。ただ、これはリップサービスの面がある。というのも、FRBはQTという考え方に共感していないからだ。QTをめぐる株式市場とFRBの考え方のずれを、いかにショックなく収斂させていくかは、今年の大きな課題になるだろう。