規模追求にうまみなし

「もはや、タイヤ単体の売り切り事業の規模だけを追求しても、さほど意味がない時代に突入しつつあるんですよ」。理由はブリヂストンの幹部の言にある。

 タイヤ業界は今、大変革期にある。近い将来には、カーシェアリングの浸透などにより、先進国を中心に自動車の販売台数が減少する予測がなされるようになった。

 かといって、タイヤの販売シェアを拡大しようにも、新興タイヤメーカーの台頭も著しく、競争激化は免れない。

 そこで、ブリヂストンはこの10年、タイヤの単体販売のみならず、関連商品やサービスまでまとめて売り込むソリューションビジネスの展開を加速させてきた。代表例が、タイヤの使用データを分析し、最適な交換時期などをトラックやバスの運送業者や鉱山の運営会社向けに提案するサービス事業だ。

 今回の買収には、こうしたソリューションビジネスを拡充し、変革期を乗り切る目的がある。ブリヂストンが持つタイヤデータに、トム トム テレマティクスの車両データを掛け合わせることで、ドライバーの人件費と燃料費、タイヤの交換費という運送業界の3大コスト全てに対応できるサービス網を築き上げようというわけだ。

 特に、これで欧州地域をてこ入れできるなら買収意義は大きい。欧州を中心とするブリヂストンの欧州・ロシア・中近東・アフリカ地域の昨年度の営業利益率は、日本や米州で10%を超す中、2.4%に沈んでいるからだ。

 ただ、世界のテック企業がモビリティーサービスに続々と参入する厳しい競争下で、ブリヂストンが存在感を示せるかどうかは未知数だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)