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アップル「iPhone売れない時代」の始まり? 編集部

 iPhoneの販売に急ブレーキがかかってしまったようだ。

 1月29日に発表されたアップルの決算では、iPhoneの売上高が前年同期比15%減となったという。iPadやMacなどは前年よりも売上が増えているだけに、iPhoneの不調ぶりが目立つのだ。これまでアップルの成長を支えていた中国経済の原則が影響を及ぼした模様だ。実際に香港などを含む中華圏の売り上げは前年同期比27%減まで落ち込んでいる。

 では、日本はどうだったのか。

 アップルは地域別の売上を出しているが、日本は前年同期比5%減となっている。年末には、QRコード決済サービスのPayPayによる「100億あげちゃうキャンペーン」により、ビックカメラではアップル製品の「PayPay特需」があったようだが、売上高を押し上げる効果まではなかったようだ。

●iPhone日本でも不振か

 日本で人気のアップル製品といえばやはりiPhoneだろう。アップルは具体的な数字を明らかにしていないが、キャリアの決算から浮かび上がってくる数字を見ると、なんとなく不調な感じが伝わってくる。

 1月31日に発表されたKDDIの決算を見ると、2018年10〜12月の第3四半期に191万台のスマートフォンを販売しているが、昨年同期の販売台数は221万台だ。

 同じ時期にも関わらず30万台も販売台数が減少しているのだ。

 ちなみに2018年7〜9月の第2四半期の販売台数は173万台で、1年前は170万台だった。KDDIは2017年夏に分離プランを導入し、端末の割引がなくなりつつあるのだが、それでも9月までは前年を上回る販売台数を計上していた。

 本来ならiPhone新製品を9月に発売するため、10月から12月は販売台数を稼ぐ時期とされている。昨年、この時期に販売台数が落ちているということは、iPhoneが思いのほか売れなかったということかもしれない。

●KDDI以外は公認割引キャンペーンを実施

 販売台数の伸び悩みに対し、KDDIの髙橋誠社長は「顧客の流動性が落ちている。NTTドコモやソフトバンクから流入するMNPの数字も弱含みだ。機種変更も去年ほどの数が出ていない」と現状を明かした。

 街を歩くと、auショップが「当店独自施策キャンペーン」と称し、MNP新規契約限定でiPhone XRの大幅割引販売を展開している。1月30日からは、新規契約だけでなく機種変更でもApple Musicを6ヵ月無料にするという施策を始めた。

 一方、NTTドコモはiPhone XRを8000円割り引くキャンペーンを展開した。ソフトバンクも1万円の割引を実施している。アップルとしてはiPhone XRの拡販に注力したいようで「各キャリアに対して、販売奨励金を渡しているようだ」(業界関係者)という。

 となると、KDDIも販売店まかせの割引だけでなく、キャリア公認の割引施策の導入が待たれる。

●キャリアはスマホが売れなくても痛くない

 ユーザーとすれば「新しいiPhoneは欲しいけど、高くて買えない」という心理が働いているのかも知れない。

 総務省は「完全分離プラン」を導入させることで、通信料金を値下げさせようとしているが、一方で端末の割引がなくなるため、端末代金が高くなるように見えるというデメリットも出る。そこで総務省は中古スマホを普及させようと画策している。しかしKDDIの髙橋誠社長は「中古スマホの活用が特効薬なのかはよくわからない。今のところ中古端末を扱うことは検討していない」とつれない。

 完全分離プランが導入されることで「スマホは売れなくなる」という声があるが、既に昨年10月以降からスマホが売れない状況が始まっている。ある業界関係者は「キャリアからすればスマホ本体を売っても利益はごくわずか。別に本体が売れなくても痛くもかゆくもない」と本音を漏らす。

 完全分離プランの導入により「キャリアでスマホを買う時代」は終焉を迎えるのか。2019年、スマホの買い方、売られ方が大きく変わっていくかも知れない。


ishikawa

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。