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NTTドコモ決算説明会より 筆者撮影

 NTTドコモが2月1日、2018年度第3四半期決算説明会を開催した。

 同社は2019年度第1四半期に2~4割の値下げを実施すると前回の決算説明会で発表していた。そのため値下げに関して続報があるのではないかと、多くの記者が詰めかけた。

 値下げの内容について詳細は明かされなかったが、吉澤和弘社長は「分離プランの方向で考えている」とコメント。「シンプルでわかりやすく、お得を感じていただける設計をしたい」(吉澤和弘社長)。

 総務省では「緊急提言」という形で完全分離プランの導入をキャリアに求めていくようだが、NTTドコモでは総務省の緊急提言に先駆ける形で分離プランを導入。通信料金の値下げにつなげていくようだ。

 気になる提供時期だが、「発表と実施の時期が一緒ではない」として、発表は第1四半期の前半、実施は後半になる可能性が高いという。つまり4月上旬に発表、6月に提供開始というのが現実的なスケジュール感となりそうだ。

 分離プランの導入で気になるのが端末価格の上昇だ。

●分離プランでスマホは高くなる?

 端末購入に対して購入補助の割引が適用されなくなるため、端末を買いにくくなることが予想される。

 吉澤社長は「購入補助がまったくないというのはありえない」と語り、ケータイからスマホへの乗り換えや、発売後1年以上経過した端末に関してはなんらかの購入補助割引を適用したいという考えを示した。とはいいつつも「過度の購入補助にするつもりはない」(吉澤社長)とのことだ。

 端末購入補助がなくなることでもう1つ気になるのはiPhoneの売れ行きだ。

 1月29日に開催されたアップルの決算会見では、iPhoneの売上が前年同期比15%減という衝撃的な数字が発表された。

 iPhoneの売れ行き不振に対して、ティム・クックCEOは電話会見で、

 「日本では、iPhoneはキャリアの購入補助とサービス契約をセットにして購入するものだった。しかも、プロモーション時期は、購入補助が増額されることもあった。しかし現在、日本の当局が購入補助を大幅に規制しはじめた。購入補助をつけたiPhoneは、前年同期はすべての販売台数の約4分の3であったが、2019年第1四半期は全体の半分以下になった」

 と語っていたのだ。

 まさかティム・クックCEOが日本を名指して端末購入補助の問題を語るとは思わなかった。

 では実際のところ、NTTドコモではiPhoneの売れ行きは落ちているのだろうか。

●iPhoneは売れなかったのか?

 NTTドコモの2018年度第3四半期では、スマホの販売台数は前年同期比で26万台ほど落ちている。

 率直に「iPhoneが売れてないのか」と吉澤社長に直撃したところ、

 「ケータイ補償サービスで提供する端末が減少している。iPhoneの新製品は数は出ている。さらにiPhone 8やdocomo withに対応したiPhone 6sに対応したことにより、前年に比べてiPhoneの売れ行きはほぼ同じ」

 とのことだった。

 つまり、端末購入補助がなくなる方向にある中、高額なiPhoneではなく、安価なiPhone 8やiPhone 6sで台数を稼いだということだろう。アップルにしてみれば、仮に台数は確保できても、販売単価が落ち、結果として売上ダウンにつながっていることになる。

 NTTドコモで分離プランが導入されるとiPhoneはさらに買いにくくなってしまうのか。

 吉澤社長は「iPhoneにはファンがいる。iPhoneに関しては、端末代が高くてもお使いになっていただけるのではないか。そうは言っても、売り方で工夫ができないのか。アイデアを出す必要がある。考えていきたい」とした。

 iPhoneは3キャリアで特に競争が激しいだけに、何らかの割引を検討していきたいのだろう。

 最後に完全分離プランの導入でもう1つ気になるのは、5Gへの影響だ。

●5Gスマホは高嶺の花に?

 日本で5Gは、今年9月に日本で開催されるラグビーワールドカップのタイミングでプレサービス、来年夏の東京オリンピック・パラリンピックのころに商用サービスが開始される計画だ。

 サムスン電子などが「5Gスマホ」を発売するだろうが、当然これも端末購入補助のない販売方法になるだろう。初期の5Gスマホは本体が大きく、バッテリーも持たず、使い勝手がイマイチになる可能性が高い。実用性が低くても、割引がなく、高い価格で購入せざるをえないだろう。

 完全分離プランによる5Gスマホの影響について、吉澤社長は「初期の値段は高くなるだろうが、努力して安価にすることで普及できるものを作っていきたい。LTEのエリアもカバーするので販売台数も見込めるのではないか。分離プランの導入で5G普及にネガティブにならないようしたい」という。

 完全分離プランの導入により、キャリアとしても、iPhoneや5Gスマホなど主力端末をどのように売っていくか、頭を悩ませているようだ。


ishikawa

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。