バーシン デロイトでは、世界124ヵ国の1万1000人を超える人事部門責任者や管理職へのアンケートを実施しましたが、本年度の調査で浮上してきたキーワードが「ソーシャル・エンタープライズ(社会的企業)」という言葉です。

 企業は、もはや財務的なパフォーマンスや株式市場での評価といった伝統的な指標だけでは、評価されなくなってきています。むしろ従業員やお客様、また地域のコミュニティや社会への貢献といった新しい関係性によって、評価されるケースが増えてきています。

 この調査のなかで、多くの人事担当者たちが「正しいことを推進する企業は、より社会にとって重要な存在になっていく」と回答しています。現代社会は、今多くの課題を抱えています。収入格差、ダイバーシティ、移民問題…… こうした社会の課題に対して、「この企業の取り組みは素晴らしいよね」と、社会の皆様から認められることが、従業員にとって働く意欲になり、その会社で働き続ける理由にもなっていくのです。これが新しい時代の企業と従業員の関係性の大きな特徴です。

ノウハウやスキルはすぐに陳腐化
「人生100年時代」のキャリア形成

握手する両氏

 これまでの日本は、キャリアと呼ばれる期間が40年ほどでしたが、今後は60年、いや65年へと伸びていきそうです。その一方で、労働市場の変化は激しく、学生時代や若手の頃に学んだ知識、ノウハウ、スキルが、10年も通用しないうちに新しいものへと変わってしまいます。私たちの世代は今後、何度も自分自身を再定義し、学び続けないといけません。企業としても個人としても、どうしていけばよいのでしょうか。

バーシン 今おっしゃっていることは、さらに加速します。企業は、短期的な成果を求められるようになり、その成果に必要なスキルや知識を持つ人材を求めます。また個人は、入社するだけではなく、入社後、すぐさま新しい環境で成果を出せるか否かが問われます。企業の中の業務は、製造業の工場のように要件定義の明確化が進み、その業務に対してどのくらいの成果を出せたのかも、データで評価されていくでしょう。

 企業としてやるべきことは、この潮流にしっかりと向き合い、最新のテクノロジーを利用して、従業員や事業のデータを徹底的に経営に活用していくこと。数百年前のイギリスで起こった産業革命でもそうですが、新しいテクノロジーによって社会や経済は再定義されていきます。その流れは絶対止まりません。