しかし、今年は違う。インバウンド動向に詳しい(株)クロスシーの山本達郎氏によれば「1月1日から中国で施行された『中国電子商取引法』により、海外からの代購に規制がかかったのと越境ECの普及で、訪日旅行者の買い物が消極的になっている」という。「空港の税関では取り締まりが強化されている」(日本人出張者)ことも、消費マインドを冷やす可能性がある。恐らく今年は1人当たりの購入単価がさらに減るかもしれない。

欲しい日本ブランドは減る傾向に

今年の春節、銀座ではトランクを引く観光客の姿が大きく減った
今年の春節、銀座ではトランクを引く観光客の姿が大きく減った
数年前の爆買い前後は“トランク族”が銀座を闊歩
数年前の爆買い前後は“トランク族”が銀座を闊歩 Photo by K.H.

 中国人観光客が欲しい日本ブランドも減ってきた。一昔前まで土産品に喜ばれたのは「髭剃り」だった。2014年に発売された「iPhone 6」には中国人バイヤーが殺到した。「炊飯器」「温水洗浄便座」などの電気製品もバカ売れした。だが、こうした電気製品の購入にはすでに一服感が現れている。

 中国でスマートフォンの一番人気はもはや「iPhone」ではなく、国産の「シャオミ」や「ファーウェイ」だ。炊飯器も国産メーカー各社がおいしく炊ける自社ブランドを開発している。パソコンがそうだったように、電気製品は技術移転が進められたため、もはや中国で何でも生産できてしまうのだ。中国人観光客にとって「日本ブランド」の家電製品は“卒業間近”なのかもしれない。

 こうした傾向を如実に映し出すのが、家電量販店の売り場だ。観光客向けの売り場は、家電製品ではなく化粧品や健康食品の棚が広がる。エスカレーターを上がりきって正面の、最も目立つゴールデンゾーンに「化粧品コーナー」を設ける家電量販店もある。