もう1つが、「英国の判断でバックストップを終わらせることができない」という点である。多くの反対票を投じた議員が問題視するのはこちらだ。

 前頁表にも示したように、バックストップは英国の独断ではなく両者の共同委員会による判断を仰ぐことになる。バックストップの期限に明記がない中、「EUの判断を仰がねばバックストップから抜けられない」という仕組みを作ったことで「永続的にEUにつなぎとめられる恐れ」が想起されている。

 従前の経緯を見ても分かるように、重要な節目では必ず英国とEUの意見は対立し、事態が長期化してきた。バックストップも交渉停滞とともに継続し、英国が半永久的にEUに留め置かれるのではないかとの懸念は一理ある。こうした「名ばかり離脱(Brexit in name only)」懸念は強硬離脱派が折に触れて批判してきた論点でもある。

 だが、そもそもEUが「英国をなし崩し的に半永久的に残したい」と思っているだろうか。現状のような中途半端な状況で残留されこともEUにとって本意ではなかろう。英国側の行き過ぎたEU不信が出ているように思える。

Q:次に何が起きるのか?

 1月29日、英議会はメイ首相に対して、「合意なき離脱」の回避とバックストップ案の再検討を要請する修正動議を可決している。前の設問で見たように、「現行のバックストップ案が永続する可能性」を穏健・強硬離脱派の双方が警戒している。平たく言えば、英議会は「EUと再交渉して、その永続可能性を排除して来い」と要請したわけである。

 なお、今さら確認することではないが、英国が直面する選択肢は、(1)合意なき離脱、(2)離脱日(3月29日)の延期、(3)離脱方針の撤回(再国民投票)、の3つであるため、この修正動議を経て、英政府は(2)か(3)で行動せよ、という方向で収束したとも言える。