この「パソコンの前のお地蔵さん」は、自他共に想定外だったのではないだろうか?

 思えば壮年期に手書き→ワープロ→パソコンと早いテンポで切り替わり、過渡期の順応に四苦八苦した世代である。その反動でリタイア直後は額に汗して動くアナログな世界に浸った人が多い。そして10年後にひっそりと自室に戻って「仕事抜き」でパソコンと再会したらハマってしまったらしい。

 例えば、団塊の世代の男性らは定年後にこぞってFacebookを積極的に始めた。もともとFacebookは若者たちが同世代のコミュニケーションで盛り上がっていたのが、リタイア組が大量流入した後は中高年のグルメや旅の記事があふれた。その量の多さにしらけたか、若者たちは退散しつつあり、SNSの主流はインスタグラムに移行しているとか。

 そんな異変にもお構いなく、オジさんらは相変わらずFacebookで知人、元同僚らを見つけては「自分が孤立していない」ことを証明するための記事や情報を流し続ける。

 合間に新聞や雑誌のオンラインサイトをのぞけば、図書館で新聞や週刊誌の取り合いをすることもない。大型の液晶ディスプレーなら音楽、映画、テレビ番組もイヤホンをつけて楽しめるし、家族とテレビのチャンネル争いもしないで済む。

 ネットサーフィンやり放題、無料のゲームにも熱中する。もっとおもしろいことを追求できるのではと、時間を忘れてパソコンに向き合ううちに、「石のお地蔵さん」のようにパソコンの前で動かなくなってしまったのである。

はたから見たら
「引きこもり」

 はたから見たら「引きこもり」なのだが、問題は本人も家族もこの「省エネ」状態には、悩んでも困ってもいないことだろう。