さらにAさんは、できれば今よりも家族との時間を取れるような働き方を模索しています。そうした中、月に1度の面談で、Aさんの口から出た予想外の相談にNリーダーが動揺、つい無神経な回答をしてしまいました。

 いったいどんな会話だったのでしょうか、そのときの会話をご覧ください。

Aさん 「実は、社内公募にある新しいプロジェクトに応募しようと思っています」
Nリーダー 「新しいプロジェクトに応募?SEとして?」
Aさん 「いいえ、違います。これからの働き方を考える新しいプロジェクトで、企画に携わりたいと思っています」
Nリーダー 「Aさん、好奇心旺盛なのは理解できますが、新しい職種は大変ですよ?それに、家庭優先で飲み会にも参加できないのに、忙しくなっても大丈夫なんですか?」
Aさん 「確かに、忙しいのは家族に迷惑をかけるかもしれませんが、私のような年齢だからこそ新たなチャレンジもしたいですし、家庭と仕事をもっと両立させる方法を考えたいんです」
Nリーダー 「私にはちょっと理解ができないなぁ…」
Aさん 「とりあえず、考えをお伝えしておきたいと思ったのでお話しさせていただきました」

キャリアに対する
決定的な認識の違い

 この会話の問題点は、何だったのでしょうか。それは、2人の「新しいキャリアへの挑戦」に対する認識が違ったことです。Aさんは、これまでの経験をもとに新しいキャリアに挑戦したいと考えていました。それに対しNリーダーは、家庭を大切にしたいというAさんに理解を示しながら、だからこそ新たなチャレンジは無謀なのではないかと心配していたのです。

 そのため、この日から具体的な話に発展しませんでした。Aさんは、新たなチャレンジに不安を感じており、上司から背中を押してもらえることを期待していたのですが、むしろ拒否されたと感じて落胆してしまったからです。