つまり、これは、本来なら政府が返さなければならない財政赤字になる金額を、日銀が意図的に国債を高く買うことで、政府の財政赤字を日銀に付け替えているのと同じである。

 政府は、2019年度予算案で、新規国債発行額が7年連続で減少し、アベノミクスのもとで財政赤字が減少したと喧伝するが、一種の「粉飾会計」によって、政府の財政赤字を小さく見せているのである。

日銀の「バブル経営」が
リスクを作っている

 一方で、日銀は銀行が預けている当座預金には金利(0.1%の付利)を支払わねばならない。それは事実上の「債務」となる。

 つまり額面を上回る価格での国債購入や当座預金への付利で、毎年度の収支で赤字になり、それがバランスシート上でも債務が増える構造だ。

 この債務を見かけ上、減らすために、日銀は当座預金の増加に対応してETF(株価連動の投資信託)を大量に購入し、株価をつり上げている。

 日銀の持つETFは、日経平均株価が2万4000円を超えた2018年9月段階で、簿価では21兆7590億円だが、時価ベースでは28兆9636億円になっており、含み益が7兆2045億円にも上っていた。

 銀行が国債離れをして国債買い取り額が縮小しても、日銀には銀行からの当座預金が増え続ける。その預かり金でETFを買って株価をつり上げれば、株価上昇の「含み益」でバランスシート上では黒字になるのだ。

 つまり、日銀自身が、いびつな「信用創造」を使って株価をつり上げており、非常にもろい「含み益」経営に陥っているのである。

 実際、この日銀の「バブル経営」は極めてもろい。

 世界中で景気後退の兆候が強まっている中で、米中貿易戦争やイギリスの「合意なきEU離脱」、今は表面的には収まっているかに見えるイタリア財政危機など、株式や債券などの金融市場が一気に不安定化する引き金になる状況があるからだ。