人事管理や労務管理にも
あらゆる分野に広がる可能性

 現状では採用や評価制度のHRテックが活況ですが、人事管理や労務管理の分野は割と昔からあります。中小企業の間では、ネオキャリアの人事向けクラウドサービス「jinjer(ジンジャー)」というサービスが広がっています。

 一般的に労務管理については、従来社内でシステムを入れていたものをクラウドにしただけなのですが、企業にとっては、そうしたサービスを使用すると社会保険労務士を入れなくて済むというメリットも出てきます。給与計算のツールもクラウド化しつつありますので、税理士に関しても同じ状況になるのではないでしょうか。

 今後の動きとしては、「人」と「お金」を連携させようというものがあります。昨年12月、ネオキャリアと東京海上日動火災保険が業務提携して、HRテックとインシュアテックとの連携を進めています。

 また、中小企業向けは与信の機能が必要で、お金の動きを押さえている会計系テックとつながっていくでしょう。

 アマゾンが「Amazonビジネス」という法人向け通販サービスを始めていますが、これを使うと、社内で誰がいくら使っているかを全て管理できます。会計では「freee」という会計クラウドが伸びており、これと人事系のクラウドサービスが連携していくと思いますが、業務提携などの動きも出てくるでしょう。

 現在日本では特化型のサービスが隆盛していますが、ある程度特化型で伸びた後、将来的には大連合化していくと私は考えています。

◎岩本 隆(いわもと・たかし)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授。東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。
日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータを経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。「技術」「戦略」「政策」を融合させた「産業プロデュース論」を専門領域として、様々な分野の新産業創出に携わる。