経済の活力低下や支持率低下が止まらないなか、文政権は昨年末近くになって、政策の「見直し」を始めてはいる。

 昨年12月10日、新しい経済担当の副首相になった洪楠基(ホン・ナムギ)氏は、最低賃金の引き上げや労働時間短縮のペースを調整する必要性を指摘。

 同月17日に発表された「2019年の経済政策」では、政策の掲載順位が変更された。

 これまでトップに置かれた所得主導成長(最近は公正な経済を含めて包摂的成長)が3番目になり、「経済の強化」がトップに置かれた。

 そのなかに投資、消費、輸出促進などが盛り込まれ、景気対策色の濃い内容となっている。

 ただし実際には、経済の強化はあくまでも補完的な措置のようだ。

 文大統領は新年の年頭演説では、依然として所得主導成長を継続することを強調している。

対日強硬姿勢は続いても
経済制裁はマイナス

 以上、見てきたように、文政権の安保外交政策と経済政策は原則主義に基づいている点で共通する。

 私たちが文大統領の対応にいら立ちを隠せないのは、歴史問題に対して原則的な考えを繰り返し表明するだけで、日韓政府で話し合い、現実的な処理をしようという姿勢が見られない点にある。

 外交問題の処理は時に妥協が必要なのだが、それを回避しているとも考えられ、今後も大統領への支持率が低下すれば、対日外交でより強硬な姿勢を示すことも予想される。

 日本政府は国際ルールに沿って問題の解決を図り、関係悪化が経済分野に及ばないように努力すべきである。

 日韓の間には日韓企業によるサプライチェーンが形成されており、また両国とも、お互いの訪問客数は中国についで2番目だ。経済制裁は日本にとってもマイナスになる。

 大統領に対する支持率が低下しているのは、韓国国民の認識が現実的になっていることを示しているともいえる。韓国の動きを冷静に捉えることが、これまで以上に必要である。

(日本総合研究所・上席主任研究員 向山英彦)