「アベノミクス偽装」を前面に
押し出しても国民には違和感がある

 そして、「アベノミクス偽装」の追及を前面に押し出す戦術も、国民にはピンとこないのではないだろうか。一部のコアな左翼支持者を除けば、多くの国民にとってアベノミクスは「前よりはマシだったよ」という感覚が間違いなくあるからだ。

 アベノミクス「第一の矢(金融緩和)」「第二の矢(公共事業)」が、長期経済停滞に苦しみ、歴代政権が苦心惨憺取り組んできた財政再建や持続可能な経済運営に疲れ果てていた国民の、「今さえよければいい、一息つきたい」という思いに応えたのは明らかだからだ。国民は、規制緩和や産業構造改革という成長戦略が必要であることは理解していたと思う。しかし、「とりあえず先送りにしてくれ」ということだったのだろう。だから、アベノミクスが打ち出された直後は、狂騒のように支持率が跳ね上がったのだ(第94回)。

 さらにいえばアベノミクスがダメだとしても、その代わりになる経済政策がなにかを、野党が提示していないことも問題だ。国民は、野党に政権が渡ったら、アベノミクス以前に戻るのかとウンザリしている。だから、安倍政権の支持率はほぼ変わらず、野党の支持率は上がらないのだ。

「第三の矢」の成否こそ
野党が国会で追及すべきことだ

 私は、野党がアベノミクス批判をしたいならば、「アベノミクス偽装」ではなく、「第三の矢(成長戦略)に焦点を絞るべきだと考える。

 例えば、国会の集中審議では、立憲民主党の小川淳也議員が、「GDPカサ上げ疑惑」を追している(日刊ゲンダイDigital)。小川議員によれば、第二次安倍政権が発足して以降、全56件の基幹統計のうち53件もの統計の取り方が見直されたという。その中には、全国消費実態調査や家計調査など、GDPに関連するものは38件に上っている。統計委員会で審議されず、勝手に見直しを決めたものも少なくないという。小川議員は、安倍首相が2015年9月に掲げた「GDP600兆円」の達成(第117回)をアシストするかのようにGDP関連の統計が見直されたと訴えた。