ホンダの欧州ビジネスは
最初から悪かったわけではない

 ホンダ版“ブレグジット”は喫緊の課題だったわけで、このこと自体はホンダにプラスに作用する可能性が高い。

 だが、記者会見で八郷社長も今回の判断を「ホンダの四輪事業の生産体制の進化」だと“自画自賛”したことについては、素直に受け止める気になれない。

 なぜならホンダの欧州ビジネスは、最初から悪かったわけではないからだ。

 トヨタが90年代後半にフランスのヴァランシエンヌ県に生産拠点を設立し、シェア5%を達成しようと懸命になっていたとき、ホンダはそこまで力を入れずとも、トヨタのシェアの半分強を涼しい顔でゲットしていた。

 ホンダの欧州ビジネスがここ20年ほどで壊滅するに至ったのは、経済的な環境要因のせいでもEUの政治力のためでもない。純粋にホンダ自身の欧州戦略がつたなかったからだ。

 言い換えれば、歴代経営者による“人災”ということだ。

 その失敗をなかったことにして分析を怠れば、次につながらない。が、八郷社長は技術の変化や市場など外部環境要因のみを理由として挙げ、自身を含めた歴代経営者のストラテジーのまずさという根本原因についてはとうとう口にしなかった。

「失敗が許される会社」は
口先だけの話

 前出の本田技術研究所幹部は言う。

「われわれホンダマンは、『ホンダは失敗が許される会社だ』とよく言います。が、それは口先だけだというのはみんなわかっています。誰かが明白な失敗をしようものなら、そいつを引きずり下ろすために攻撃材料にするのは日常茶飯事。

 なので、とくに出世が期待されている人材にはとにかく失敗させないということが大事。放っておいても成功することをやらせるか、失敗をなかったことに、あるいは成功したことにするかのどちらかです。八郷さんの言葉のはしばしに、それがにじみ出ているのが情けないやら悔しいやら」