有給で社内ワークショップを開催しよう

 バリー・ベーミラーの研修ではほかにも多くのことを学んだが、私にとってFBIの右に出るものはない。簡潔で、実践しやすく、しかも効果的だ。スチューデント・メイドで働く全員に、FBIの達人になってほしいと思った。その数年前から、社内で波乱に満ちた出来事が続いていたからではない。オンラインのレビューの時期を待たなくても、学生が不安や不満を共有できる機会をつくりたかったのだ。

 私も彼らにできるだけ早くフィードバックを伝えたかったし、彼らがパソコンの画面越しではなく、顔と顔を合わせて言いたいことを言えるようにしたかった。そこでFBIを中心に、私がバリー・ベーミラーの研修で学んだことに基づいて、半日間のワークショップを考案した。このワークショップは現在もスチューデント・メイドで働く全員が必ず受講しなければならず、受講時間に対して給料が支払われる。

 FBIはシット・サンドイッチに完全に取って代わっただけでなく、匿名の相互評価も必要なくなった。同僚と向き合う効果的な方法を学んだ学生は、人間関係の問題は本人同士で解決できるという自信を持つようになった。今ではスチューデント・メイドで働く誰もが、私も、運営チームのメンバーも、学生も、相手の間違いを正すようなフィードバックを、誰に対しても効果的に伝えることができる。

 そのようなフィードバックは可能なかぎり、直接話すように奨励している。相手に声をかけて、「あなたにFBIを伝えたい」と言えばいい。簡単なことだ。簡単にできるから、学生はスチューデント・メイド以外でも実践するようになった。ある学生は授業中に教授から不当にいじめられていると感じて、教授にFBIを伝えたところ、からかわれなくなったそうだ。