FBIの基本は次のとおり
スチューデント・メイド創業者兼CEO
2008年フロリダ大学在学中に、学生のみを雇用する清掃サービス会社「スチューデント・メイド」を起業。彼女が大学生として始めたビジネスである同社は、数百人の人材を雇用するまでに成長しており、業界をリードする離職率の低さ、信頼性、責任感、エンパワーメントの文化が全米で知られる。スチューデント・メイドで仕事をした学生の多くは、自分のビジネスを起業し、世界中の企業で非常に重要なポジションに就職している。スチューデント・メイドは主要メディアで次々と紹介され、著者には同社の成功から学びたいと講演依頼が全米の組織から殺到。現在は、スチューデント・メイドの経営のかたわら、人々に永続的かつ意味のあるインパクトを与える支援をする目的で多くの講演や研修などを行う。
Photo by Pete Longworth
F(気持ち) 相手の気持ちではなく、自分の気持ちに焦点を絞って話すと、受け取る側は反論しにくくなる。例えば、遅刻した人に向かって「あなたには責任感がない」と言うと、理屈っぽい言い訳の余地が生まれる。「それは違う、責任はちゃんと感じている」と主張することもできるからだ。しかし、「私は怒っている」「私は失望した」と言えば、そのように感じたことを否定する余地はほとんどない。
B(振る舞い) フィードバックを受け取る側は、自分のどのような振る舞いに問題があったのかを知る必要がある。具体的に指摘するほどいい。「遅刻した」だけでは、いつのことか正確に思い出せないかもしれない。
I(影響) 周囲に否定的な影響を与えるような振る舞いを意図的にする人は、基本的にいないだろう。そして、自分の振る舞いが否定的な影響をもたらしたと気づいたら、同じことは繰り返すまいと思うだろう。そこで、遅刻がどのような影響をもたらしたのか ― 信頼していいのかどうか、わからなくなった ― 具体的に伝える。
FBIはさらに、相手を認めていることを伝えるアプローチとしても最適だ。相手を認める「正しいやり方」があるとは、考えたこともなかった。言葉にすればそれなりに伝わるだろうと思っていた。
しかし、漠然とした注意だけでは相手の振る舞いが変わらないように、差し障りのない称賛 ― 「あなたって本当にスゴイ!」 ― は、士気を高めることにつながらないだろう。ほめることが目的になっては意味がない。まさに、参加するだけでほめられる「参加賞世代」だ。何もかも最高に素晴らしいとほめられても、自分の何が本当に素晴らしいのかは、わからないだろう。
時間どおりに来て、やるべきことをやっただけで感謝を言い募るのではなく、予想以上の振る舞いを理由に相手を認めるほうが、はるかに効果的だ。
そこでFBIの出番だ。相手のおかげであなたがどのような気持ちになったか、具体的にどのような振る舞いのおかげか、彼らの振る舞いがどのような影響をもたらしたか。これら3点を明確に伝えれば、相手はその振る舞いを何回でも繰り返そうと思うだろう。
例えば、「あなたが遅くまで残業して、私の報告書の作成を手伝ってくれたことに感謝している。おかげで私は、子どもを寝かしつける時間までに帰宅できた」と言われた相手は、次にあなたが手伝ってほしいときに、進んで残業しようと思うかもしれない。