ある時、友人から、いい出会いがあったという連絡があったのです。
 けれど、この時お不動さまは、
「この縁はそのうち別れる。だからあまり喜んで応援しないほうがいい」
 と言いました。
 なので私は、「そうなんだ」と答えるにとどめました。
 その後、ほどなくしてその友人から再び連絡があり、「思っていたような人ではなかったので別れるつもりだ」とのことでした。
 これについてお不動さまは、こう教えてくれました。

「そういうものだ。
 だから人の縁は、結んだ切れたで簡単に喜んだり悲しんだりするものではない」

 縁の背景にはいろいろあるものですが、それは人間の目には見えません。
 ですから、見えているところだけで判断して一喜一憂するのも、変な話なのです。

 この出来事で、私は人の縁というものには、人智を超えた深い部分があるのだと知りました。
 そして、何事にも人智を超えた善し悪しがあり、物事の本当の善悪は人間にはわからない、と改めて気づかされたのです。