後継者が育たなかった
ゴーン経営体制

 筆者は、この「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ」の執筆を開始してから4年となるが、第7回で「拝啓 カルロス・ゴーン様、岐路に立つ日産をこれからどうしますか?」(2015年6月19日)のタイトルで日産株主総会へ株主の代わりにゴーン社長(当時)の胸中を探るため、率直な意見を具申した。

「拝啓 カルロス・ゴーン・日産社長様
貴兄がルノーと日産が資本提携した1999年に当時のシュバイツアー・ルノー会長の意を受けて日産COOに赴任して以来、16年が経過しました。
 1990年代末に2兆円もの有利子負債を抱えて瀕死の状態だった日産を再生させた立役者としてその経営手腕は誰しも認めるところでありました。確かにルノー日産連合は今や世界第4位の販売を占めるに至り、20世紀末から21世紀初頭の世界自動車大再編の中で成功したアライアンスの事例であることは言うまでもありません。
 しかし、貴兄が日産社長とともにルノー会長を兼ね、両社のトップとしてルノー日産連合を統括する立場を続ける中で、ルノーの経営を日産が助ける状態、つまりルノーの連結業績に日産の業績が大きき寄与していることでルノーが成り立つという逆転現象が続いている実態をどうお考えですか。
 また、仏政府が『かつてのルノー公団の再来か』と見えるルノーへの議決権を高める動きをどう受けとめているのですか。仏政府と貴兄の間で齟齬をきたすことはないのですか。
 日産としては米国や中国における台数と利益率の高さでグローバル経営を進めていますが、日本市場では苦戦しています。今期も日本市場での新車計画はありません。日産の母国市場固めと生産体制をどうするのですか。
 日産再生のキーマンとして16年が経過しましたが、そろそろ日産トップを日産プロパーに任せませんか。それとも『日産なくしてルノーは成り立たないから、まだまだルノーと日産の両トップを続ける』というお考えですか。あるいはそろそろ転進するお考えもあるのでしょうか。 敬具」

 以上が、当時の手紙風に執筆した文面(抜粋)である。

 思い起こせばすでに日産におけるゴーンチルドレンと言われた志賀俊之COO(最高執行責任者)を2期連続減益の責任を取らす形で更迭したのが2013年11月。その代わりに当時の西川廣人、トレバー・マン、アンディ・パーマーの3副社長による“トロイカ執行体制”に切り替えている。