8日発表された2月の米雇用統計では、正反対の動きが浮き彫りになった。雇用者数の伸びが急激に鈍化した一方、失業率が低下し、賃金の伸びは加速した。これは単なる偶然かもしれない。あるいは、米連邦準備制度理事会(FRB)が対応を迫られることになるのかもしれない。2月の非農業部門就業者数は前月比2万人増と、エコノミスト予想の18万人増を大幅に下回った。失業率は4%から3.8%へ低下し、エコノミスト予想と一致した。平均時給は前年同期比3.4%増加し、10年ぶりの高い伸びを示した。なぜこんなことが起きたのだろうか。まず心に留めておくべきなのは、雇用者数と失業率はそれぞれ異なる調査に基づき算出されていることだ。一方は雇用主調査、他方は家計調査だ。家計調査では25万5000人の雇用増となった。おそらく政府機関閉鎖が終わったことが一因だろう。同時に、悪天候で仕事に出られなかった人々もいたもようだが、こうした要因は家計調査よりも雇用主調査の方に大きな影響を及ぼす可能性がある。