高田 これには、長崎県特有の事情も関係しています。例えば県北の佐世保から来るには、列車よりも自家用車が便利ですが、駐車場が少なくて、収容しきれない恐れがあります。また、私の出身地・平戸や、壱岐など、佐賀県に近いエリアの人は、サガン鳥栖や、ソフトバンクホークスは観に行っても、列車でアクセスしにくい県央・諫早のV・ファーレンの試合には、なかなか来てくれません。

交通の便に恵まれないサッカースタジアム

堂場 全国のJリーグチームの地図を見ますと、スタジアムはどこも交通の便があまりよくない。中心部からかなり離れた場所に作られた、かつての公共陸上競技場とかサッカー場をそのまま転用したというケースが多そうです。最寄の諫早駅から徒歩30分のトランスコスモススタジアムは、交通の便からいうとかなりのマイナスじゃないですか。

高田明氏
高田 明・V・ファーレン長崎社長
Photo by M.I.

高田 かなりどころじゃないですね。もともと国体の開催に向けて作られた競技場ですが、V・ファーレンのJリーグ参入が決まって、競技場を改修したときに、クラブも行政も、2万人のお客さんが実際に入ることを想定していなかったと思うのです。だから2万人のお客さんのうち大多数が車で来場しようとすると、駐車場が圧倒的に足りない。

堂場 座席はあるけど、お客さんは来ないという前提なわけですか。

高田 JRさんに増便してもらったり、諫早駅からスタジアムまでの30分の道を行政と協力して「V・ファーレンロード」と命名して整備し、商店街の方々を中心におもてなしをしてもらって、楽しく歩けるようにしたり。また駐車場確保が喫緊の課題だったのですが、単に近隣の駐車場を増やすと道路が渋滞してしまう。そこで30分ぐらい離れたところに500台駐められる場所を確保し、シャトルバスで搬送するとか。正直言えば、警備員の配置などを含めて駐車場関係の費用だけで、毎試合半端でない金額がかかっています。

堂場 クラブの枠を超えて、行政とか公共の交通機関とか、いろんなところと絡んでいかなきゃいけませんね。そもそも交通の便がいい場所って、だいたい野球に取られています。

高田 広島なんか最たるもので。マツダスタジアムは広島駅のそばですが、サンフレッチェのスタジアムは、市街地からずいぶん離れています。

堂場 東京ドームも駅徒歩0分、神宮も5分ぐらい。野球にいい場所を取られたサッカーは、そのほかのところで何とかやっているという印象があります。でも4年後、2023年に新しいスタジアムが完成予定。今度は長崎駅のすぐそばですよね。3年後に新幹線も開業すれば、今とは状況が一変するのではないですか。

高田 最高の立地ですし、ガラリと変わるでしょうね。ただ、新幹線の沿線じゃない佐世保や県北からはやはりアクセスしにくく、駐車場問題は残ります。

堂場 県内の交通事情を考えると、駐車場を何千台分用意すればいいんだ、と……。

高田 「スポーツのもたらす力」に対する認識が、日本の行政はまだ甘いように感じます。