結局、これまでの金利が高いことは瀬戸第一銀行もわかっていたのです。

 それを承知で、金利交渉をしてこないこの会社には、別段、金利の見直しの働きかけはしませんでした。銀行にすれば当然です。高い金利で融資できているわけですから、放置しておくのが得策です。

 しかし、四国共栄銀行の支店が営業をかけてきているらしいという情報が入ってきます。巷で聞くところでは、四国共栄銀行が提案する金利は、どうも、うちよりも低いらしい。これでは瀬戸第一銀行のシェアを奪われるかもしれない、という危機感が襲います。

 ということで、瀬戸第一銀行は、こちらから何も言わずとも、金利を下げてきたのです。

 銀行では、どの企業でどの程度のシェアを獲得しているかは、支店のみならず、個人の査定にも大きく影響します。

 銀行間の競争は、それだけ熾烈なのです。やはり、お客さんを取られたくないわけです。

 そこに、借りる側がつけ入る余地が出てきます

 常日頃から金利交渉に動いておき、新たな支店が近隣にできたときに「あそこの支店、けっこういい話だった」と呟くなど、銀行に危機感を持たせるようにしましょう。