『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営を解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第52回では上場と代表取締役の解任について解説する。
反抗的な社員を変えた「コンサルのひと言」
IPO(新規上場)の是非を巡って、社内が製造部門を中心とする賛成派と、営業部門を中心とする反対派に分断されてしまったアパレルメーカー・ハナオカ。
賛成派だった製造部門の片岩八重子(ヤエコ)が反対派に転向したのをチャンスと捉えた古参社員の大林隆二は、証券アドバイザー・牧信一郎の元を訪れ、主人公・花岡拳に依頼されたIPO支援から手を引くように忠告する。
しかし牧は「コトと次第では、あんたがあの会社のトップに立つことだってあるんだ」と、大林が想像だにしなかった言葉を投げかける。
牧は、ホームレス経験のある大林に、「もし現実になったら世間は驚きますよ。『ホームレスから社長へ—奇跡の逆転人生—』とかタイトルがついて…」と続ける。
三井住友建設で起きた「クーデター」
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
牧が語るのは株式会社でのトップ交代の筋書きだ。株式会社の取締役会において、過半数の役員が代表取締役解任決議に賛成すると、社長の代表権を奪い取ることができる。
しかし今のハナオカでは、社長である花岡が株式の3分の2以上を持っているため、株主として臨時株主総会を開いて、交代賛成派の取締役を解任できる。
だがいざ上場すれば、株式は市場に売り出されるのが普通だ。牧が言うところでは、上場後のオーナー単独の持ち株比率は多くて30%前後。つまり50%以上の株式を持つ株主たちを自分の味方につければ、大林でも社長になれるというわけだ。
これは漫画の中だけの話ではない。2024年には、ゼネコン準大手の三井住友建設で反社長派の取締役による社長解任決議が起こった。
牧は「上場ということは、会社が創業社長の個人商店ではなくなり、株主、従業員、取引先…社会全体の共有財産になるということ」と説明。それこそが「株式公開の真の姿」だと語るのだった。
“IPOの真実”に触れ、反対派から賛成派へとくら替えした大林は、IPO準備を急速に推し進める。一方、花岡の前には、仇敵である一ツ橋商事の井川泰子が現れる。花岡憎しの井川は、ハナオカの業績を調べ、次の一手を模索するのだった。
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク







