1980年代、外出先で電話をかけたければ、公衆電話を探す必要があった。待ち合わせに使われたのは駅の伝言板。自動車電話付きの社用車は役員のステータスで、移動しながらの通話は富裕層の特権だったのだ。

 93年から始まった「2G」で無線通信がデジタル化された。メールやインターネットが可能になり、携帯電話がコミュニケーションの必需品へと昇格する。

 NTTドコモの「iモード」は大ヒット。2000年2月にはドコモの時価総額が過去最高の42兆円に達した。この記録を破る日本企業はいまだ現れていない。

 01年からは通信速度が向上した「3G」の時代に突入。カメラや音楽プレーヤーといった、他の家電製品の機能を、携帯電話がのみ込み始めた。「写メール」「着うた」といったサービスはカメラやCD産業に大打撃を与えた。

 また、3Gは初めての国際標準規格だ。いつの間にか海外でも自分の携帯電話が使えるようになったのは、3Gのおかげだ。

 3G時代後半の07年、携帯電話の歴史を塗り替える端末が産声を上げる。iPhoneの登場だ。

 スマートフォンという概念を世に広めたこの端末は、10年から始まった「4G」の波に乗って世界中で大ヒット。アップルを世界一の企業の座へと押し上げた。

 スマホの真骨頂は、アプリをダウンロードすればいくらでも機能を追加できる点だ。ここに目を付けた開発者たちは、SNSやライドシェアなど、画期的なサービスを次々と生み出した。

 スマホ一つで買い物から道案内まで、さまざまなアプリをどこでも手軽に使うことができるのも、4Gの通信インフラが陰で支えているからだ。

日本は4月に周波数割り当て
9月からプレサービス開始

 5Gになると、「高速・大容量」「低遅延」「同時多接続」の3大要素が4Gから進化する。

 大容量化は分かりやすい。データ通信が速くなるとともに、ビット当たりの通信コストも低減されるので、“ギガが減る”ことに悩まされずに、もっと手軽に動画を楽しめるだろう。

 ただ、産業界で本当の期待が集まるのは、残る二つの特徴だ。

 低遅延の代表は自動運転。時速100kmで走行中の車を遠隔制御で停止させようとした場合、4Gでは通信の遅延により、ブレーキがかかるまでに少なくとも30cm近く進む。5Gならばこれが約3cm。反応速度が1桁上がることで、一気に実用化に近づく。