一足先に「分離志向」を身に付けるため、各社の通信料金だけを比較してみよう(上図参照)。
それぞれの料金プランの特徴を理解するには、携帯大手が提供する「松」、そのサブブランドが提供する「竹」、格安SIMと呼ばれる「梅」の3段階のグループに分類すると分かりやすい。
松グループでは、分離プランを導入していないドコモの通信料金の高さが目立つ。端末代金がここに含まれているとみられるからだ。対して、いち早く分離プランを導入したKDDIの通信料金は安い。
ソフトバンクは50ギガバイト(GB)という大容量で安さを打ち出しているが、1~5GBの低容量プランはドコモと比べても安いとはいえず、一見通信料金競争を放棄しているかのようである。
だが、竹グループを含めて比較すればその理由が分かる。松よりも、竹のワイモバイルとUQモバイルは一目瞭然で安い。
実は、ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルはソフトバンクの回線と全く同じで、品質面では「隠れ松」。大容量ユーザーはソフトバンクに引き留めながら、低価格志向の強いユーザーは同じ回線品質のワイモバイルを受け皿にするという「マルチブランド」戦略なのだ。
梅グループは、さらに通信料金が安い格安SIMの上位11社だ。
音声通話の基本料金はかけ放題を選択しなければ無料。加えて、大手3社の音声通話は30秒ごとに20円掛かるが、格安SIMなら専用アプリを使えば30秒10円と半額になることがほとんど。データ通信は月額1000円から選べるため、大手3社との価格差は歴然だ。
調査会社のMM総研によると、スマホ利用者の75.2%はデータ通信利用量が月5GB以下。これを前提に「5GB+10分かけ放題プラン」で梅グループの料金を見ると、月額料金は2760~3130円。ドコモで同じデータ容量を使う場合に比べ、4000円前後の圧縮が可能で、4人家族なら年間20万円近く節約できる計算だ。
一般に竹と梅のグループを総称して「格安スマホ」と呼ぶ。ワイモバイルを除く各社が、大手携帯会社から回線を借りるMVNO(仮想移動体通信事業者)だ。
MM総研による18年9月の利用者調査では、大手3社の月額利用料金の平均は5680円(端末代金を除く)。サブブランド2社は2963円、MVNO各社は2040円。大手キャリアと格安スマホで、これほどの料金差がある。
安さ追求なら格安スマホ
通信速度に格差
では、格安スマホへの乗り換えを検討するなら、どんな候補があるのか。
MMD研究所の利用者調査によると、格安スマホ上位10社が90%のシェアをカバーする。候補としては下図の14社を押さえておけば良いだろう。