警察署写真はイメージです Photo:PIXTA

上下関係が厳しいうえ、暴排条例で締付けが厳しくなった暴力団。一方で、新たに進出してきた「半グレ」の中には公然とSNSやYouTubeで活動している者も多いという。新興勢力の半グレと旧来のヤクザとの意外な関係性とは。※本稿は、櫻井裕一・高野聖玄『匿名犯罪者―闇バイト、トクリュウ、サイバー攻撃』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

緩やかな仲間意識で繋がる「半グレ」
裏社会での力関係の変化で誕生

 半グレという呼称は、暴力団や匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)のように警察が指定したものではないため定義はやや曖昧だが、暴力団には属していないが、暴力的または違法な活動に関与している素行不良者やそれらのグループを指す言葉というのが一般的な解釈だろう。

 暴力団と一般市民の間に位置する存在を示す言葉として広まったとみられる。

 グループとしては、暴走族OBや地元の不良仲間からなる集団であり、暴力団組織のような明確な階層構造や規律がなく、緩やかな仲間内で形成されているのが特徴だ。中には元暴力団員や在日不良外国人が含まれているケースもある。

 上下関係が厳しいうえ、暴排条例で締付けが厳しくなった暴力団に入るメリットがないと考える若い素行不良者らにとって、同世代の仲間内で連携していくというのは、ある意味で合理的な選択だとも言える。

 それに対して、ヤクザ組織である暴力団は厳密な階層構造を持ち、明確なトップ(組長や会長)と役職に応じた、伝統的な指示系統が存在する。組織内部には上部組織と下部組織があり、各組員が役割を持って組織活動に従事しなければならない。