世界中で爆発的に普及が進むスマートフォン。その勢いに乗る韓国メーカーの一つLG電子は、スマートフォンが生むビッグデータにどのように対峙しようとしているのか。LG電子のCIOを経て、現在はITサービス企業LG CNSのCTO(最高技術責任者)として、高度な分析プラットフォームの構築を進めるキム・テグ氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス)

――LGグループにとって、ビッグデータはグローバルな企業競争においてどのようなインパクトを持っていますか。

Kim Taekeuk/韓国LG CNSシニア・バイスプレジデント 兼 最高技術責任者(CTO)
ソウル国立大学卒、工学修士。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)にて、上席コンサルタントとして活躍後、1994年LG EDS社に入社。2004年、LG電子のCIOに就任。09年にはInformation Week Global CIOに選出。10年から現職。

 いま、人類はアドバンスト・アナリティクスという高度な分析が可能な時代の入り口に立っています。ビッグデータと呼ばれる膨大な量のデジタルデータの出現と、それを保存・処理するテクノロジーの進化がこうした変化を生んでいます。

 400年前にガリレオが使った望遠鏡の時代から今日まで、人類はさまざまな道具を使って未知の世界を観察することによって、新しい知見を得て、生活のレベルを上げてきました。ハーシェル望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡、あるいは電子顕微鏡など、新しい道具の登場によって、宇宙空間から極小な世界まで、それまで見えなかった世界が解明されていきました。

 アドバンスト・アナリティクスとは、ビッグデータという大量で多様なデータであるがゆえに人類が知りえなかった世界を観察可能にするテクノロジーです。ビッグデータの中から意味を見つけて迅速に現象を理解し、予測とインサイトを提供する、アドバンスト・アナリティクスとは、分析のまったく新しいパラダイムなのです。

 LGグループではそうしたパラダイムにいち早く対応するために、高度な分析ツールを開発するSAS Instituteの協力を得て、2年前から韓国にアドバンスト・アナリティクス・センターを設置し、運営しています。新しい分析パラダイムへの準備はまだ始まったばかりですが、LGグループは、少なくとも韓国内では最も素早く、積極的に、多方面に展開するトップランナーです。