「春のセンバツ」が行われている。見る者は「球春到来」と胸を躍らせるが、この時期に全国大会を戦うチームや選手の舞台裏が想像以上に「大変」で、いかに「不自然」かについては、ほとんど誰も指摘しない。「甲子園出場」の栄誉を得られるなら、それくらいの不便は厭わないというのが出場校の思いだろう。しかし、組織として、そのような無理を前提にし続けるのは大いに問題だ。
春のセンバツで高校球児が
実力を発揮しきれない理由
プロ野球は11月から1月までのシーズンオフを終えたら2月にキャンプがあり、2月末からオープン戦を経て3月末の開幕を迎える。プロだからこそ、南の島など暖かい環境で約1ヵ月練習したあと、さらに実戦の経験を1ヵ月以上積んでシーズンに入る。
ところが高校野球は、3月8日の対外試合解禁を待って練習試合を行う。普通に考えればまだ3学期の授業期間だから、センバツ開幕までのわずか2週間の間、それほど多くの練習試合はできない。だから、十分な準備が整わないまま、開幕を迎えるのだ。
全国的な注目を集める大舞台でありながら、本来の実力を発揮しきれず敗退するチームが多いことはこのスケジュールと無関係ではないだろう。
しかも、雪国では、「母校のグラウンドはまだ雪の中」だ。日本高野連が新潟県高野連の決めた「春季大会での100球制限」を差し戻した際、「勝負に関わることは全国一律であるべきだ」としたが、季節をめぐる環境は全国一律であるはずもない。沖縄の高校は1月でも普段と変わらぬ野球をやれる。一方で、センバツが始まってもなおグラウンドで練習ができない高校もある。こうした不公平を改善すべきとの声はない。
夏と異なるセンバツ「3つの傾向」
1点でも先取点を取った高校が勝ちやすい
ここ数年のセンバツの傾向を見ると、夏の甲子園とは試合展開に大きな違いがある。