広域渋谷圏で東急不動産が手掛ける原宿「神六」再開発「神宮前六丁目地区」の再開発対象エリア。左手前にある変形五差路は廃されて、新築される建物は明治通り沿いまで広がることに

大手デベロッパーが「原宿」で競い合う

 JR山手線の駅舎の中でも、とりわけインスタ映えすることで人気がある「原宿」駅前は、明治神宮に向かうインバウンド(訪日外国人観光客)の集団とジャニーズショップに並ぶファンの列がひときわ目を引く。これに修学旅行生も集まる竹下通りを加えれば、東京でも指折りの観光集客スポットといえる。

 ファッションの街「原宿」の草分け的な存在であるラフォーレ原宿がオープンしたのは41年前のこと。「神宮前四丁目地区市街地再開発事業」として、同じく森ビルが手掛けた青山同潤会アパート跡の表参道ヒルズは2006年の開業である。

 「原宿」駅近くでは1988年竣工の原宿クエストに続いて、NTT都市開発が原宿アパートメンツ(1959年竣工)などの跡地を再開発する「原宿駅前プロジェクト」(約0.5ヘクタール)を2020年春に開業予定で進めている。共同住宅に加えて、郊外店舗が中心だったIKEA初の都市型店舗が入ることでも話題になっている。新しい駅舎とホームの建設が進む「原宿」駅周辺は大きく表情を変えていく。

 渋谷駅周辺地区で大々的な再開発事業を進めている東急不動産にとっての「原宿」は、「恵比寿」「表参道」「代官山」と共に、広域渋谷圏として自らの存在感を高めるべく注力しているエリアの1つである。

 東急プラザ表参道原宿(2012)、キュープラザ原宿(2015)に続く東急不動産第3の複合商業ビルが、表参道と明治通りが交わる神宮前交差点に生まれようとしている。「神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業」がそれで、今年2月15日に東京都が施行を認可した。2022年度の完成を予定、東急プラザ表参道原宿とは交差点を挟んで向き合う形になり、このエリアでの東急ブランドのプレゼンスは高まりそうである。