2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

お互いに高め合うチームをつくるシンプルな「仕掛け」とは?

「3人フィードバック」でお互いの成長をうながす

「働き方改革」を進めるために、最も重要なのはチーム内の「関係の質」を高めることです(連載第8回、連載第32回)。これが、「働き方改革」の絶対条件と言っても過言ではありません。ただ、「関係の質」の向上がゴールではないことも、また事実です。むしろ、「関係の質」がある程度高まったら、次のレベルに向けてチャレンジを始めるべきです。お互いを承認しあうことで「関係の質」を高めたうえで、お互いに成長を促し合う関係へとレベルアップさせるのです。

 そのために私がおすすめしているのが、「お互いの強みと弱みをフィードバックし合う」機会を設けることです。これは相手の「弱み」を伝えるとともに、自分の「弱み」を受け止めなければならないので、少々ハードルの高い取り組みですが、「お互いに成長をうながす」というさらなる高みをめざすためには、非常に有意義なチャレンジといえます。

 具体的には、「3人フィードバック」という取り組みが有効です。
 やり方は簡単。「カエル会議」などの場で、ひとりのメンバーに対して3人のメンバーが、それぞれ「強み」と「弱み」について3枚ずつ付箋に書いて、【下図】のような「強み・弱みシート」に貼りつけるだけです。

図31−2

 3人でフィードバックするのは、そのほうが客観性が増すからです。ひとりからのフィードバックだと、「たまたまこの人はそう感じているのだな」と受け取ってしまうため、あまり心に響きません。しかし、複数の人から同じようなことをフィードバックされると、強烈な説得力をもって本人に迫ってくるため、自ら言動を見直すきっかけになることがあるのです。