『週刊ダイヤモンド』4月20日号の第1特集は「NETFLIXとナベツネとコンテンツの未来」です。ネットフリックスは映画やドラマ、ドキュメンタリーをインターネットで配信するサービスを提供しています。有料会員になれば、インターネットに接続したテレビ、パソコン、スマートフォンなどで、見たい時に見たい作品を楽しむことができます。そんなネットフリックスは昨年から、日本のアニメ産業へ積極的に投資をしています。狙いはどこにあるのでしょうか。同社アニメディレクターの沖浦泰斗氏に話を聞きました。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)
――ネットフリックスは昨年と今年、相次いで日本のアニメ制作会社と包括業務提携を締結しました。狙いをお聞かせください。
現在、6社と業務提携を結んでいます。複数年にわたって、作品づくりをご一緒しましょうということです。前提としては、ネットフリックスで独占的に世界配信していきます。私たちネットフリックスはお客さまに継続的に、良い作品を提供していくということが目的です。アニメ制作会社などのパートナー企業にとっては、長期にわたって人材を育てたり、投資をしたりすることが可能になります。
――沖浦さんはもともとアニメ制作会社であるデイヴィッド・プロダクションで長年、制作側にいました。ネットフリックスがこうした組み方をするのは、アニメ制作会社のビジネスモデル、アニメ制作におけるエコシステムが回らなくなってきたという問題にも着目されているのでしょうか。
それもあります。従来の、特に大人向けアニメは基本的に「製作委員会」という複数の出資者が一つの作品についてファンディングして支えるというシステムでやってきました。このモデルでは、ブルーレイやDVDの販売収益を重要な収益源としていましたが、これがだんだんと減ってきました。確か2004年ぐらいがピークだったと思います。
アニメプロデューサーにとっては、それに代わる収入源が必要でした。スマホゲームなどを活用した収益化と中国市場が注目されていました。しかし、中国は当局の規制が厳しくなっており、市場は予想よりも小さくなるのではないかといわれています。