枝野代表は、「自分はリベラルではなく、保守」と発言するなど、立憲民主党結党直後から、自分の「背後霊」とどう折り合いをつけるか、試行錯誤を繰り返してきたように思う。しかし、メディアの報道の中には、枝野代表の党での「孤立」を指摘するものもある。試行錯誤はうまくいっているようには見えない。

 枝野代表にとっては、ここが勝負所だろう。この連載では、日本政治が自民党「長期政権」と共産党「万年野党」の利害が一致する「分極型一党優位政党制」か、穏健な路線の政党同士が政策を競い合う「穏健な保守・中道二大政党制」か、将来どちらに向かうのかの分かれ道があると主張してきた(第165回・P.5)。枝野代表が、政策を競い合う政治を目指したいのは明らかだが、ここで支持率低迷に心が折れて、安易な共闘路線に逃げるようなら、未来はない。

維新の会が憲法改正に賛成しても
自民党の一派閥になるだけだ

 さて、衆院大阪12区補選で勝利した「日本維新の会」である。維新の会は、大阪では大阪府知事・市長の「クロス選挙」に続き、さすがの強さを見せた。これは当然の結果だと思う。

 大阪での維新の会の強さを「大衆迎合主義(ポピュリズム)」とみなすのは間違いだ。前回も指摘したように、維新の会の強さは、既得権と闘って二重行政の解消などの行政改革と財政再建にまじめに取り組んできたからであり、待機児童問題や高齢化対策に、国とは違うアプローチで成果を出してきたからだ(第208回・P.4)。

 一方、維新の会は大阪以外では、非常に厳しい状況だ。統一地方選の前半戦に投開票された全国の道府県議選挙で、維新の会は関西以外では全敗を喫した。大阪での勢いは、全国的な広がりにつながっていない現実が浮き彫りになったといえる。このままでは、関西限定の「地域政党」になってしまうと懸念される。

 維新の会は、橋下徹元大阪府知事・市長がメディアで発言しているように、「憲法改正」に活路を見出そうとするのかもしれない。その戦略自体は悪くない。この連載では以前、野党が安倍政権の改憲に賛成することで活路を開けると指摘したことがある(第169回)。

 野党が賛成することで、公明党抜きで改憲発議に必要な衆参両院3分の2の議席を得られれば、改憲反対が多い支持者に押されて、公明党が自民党との連立から離脱するかもしれない。公明が連立から離れれば、今度は野党側が、時間をかけて公明党を取り込む余地が生じる。公明党は、本来自民党の保守派よりも、野党の中道勢力(旧民主党の右派や維新の会)と政策志向が近い。これらの勢力が組めば、政権交代への活路を開くことになるからだ。