今年1月、三菱UFJフィナンシャル・グループは投資ファンドの運営会社を設立し、200億円のベンチャーファンドを組成した。その狙いは何なのか、背景分析とファンド運営会社トップのインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
「かつて競争相手だと思っていたところが、協業先に変わりつつある」――。すでに数年前から、メガバンクの首脳陣はこのように認識を改めている。金融とテクノロジーの融合、すなわち「フィンテック」と呼ばれる新領域の旗手たちのことだ。
黎明期のフィンテックは、既存の金融ビジネスを侵食し、金融機関の既得権を脅かす存在だと警戒されていた。もちろん、個人間送金やキャッシュレス決済の分野で、フィンテック企業が次々に新サービスを打ち出し、攻勢をかけているのは間違いない。一方で、旧来型の金融機関は今、低金利環境による収益力の低迷という課題に直面。その中で、新たな技術を活用した利便性の高いサービスを取り込もうと、ベンチャー企業と積極的に手を組む方針にシフトし始めている。その代表例が、メガバンク主催のアクセラレータープログラムの開催やIT企業支援のための拠点開設であり、すでにメガバンク同士の“陣取り合戦”の様相すら漂っている。
こうした状況において、銀行界最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、“メガバンク初”となる試みに乗り出した。今年1月にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の運営会社を設立し、200億円のフィンテックファンドを組成したのだ。