もちろん、高級なサービスにまったく笑顔がないわけではありません。しかし、プロフェッショナルであるほど表情はキリリと引き締まり、むやみやたらと笑顔を向けたりはしない傾向があります。頼りがいや信頼感は高まる一方、親しみやすさという要素は確実に減っていきます。

サービスが少ない高級店に
客は十分な満足感を覚える

 また、情報量も確実に減ります。カジュアルなレストランのメニューには、「季節のおすすめ」の紹介があったり、「定番!」というアピールがあったり、料理の解説や写真が添えられていて、にぎやかです。

 一方、高級なフレンチレストランで出てくるメニューには、料理名が並んでいるだけで、解説も何もありません。選択肢もそれほどない。とにかく情報量が少ないのです。

 迅速さにも違いが出ます。

 カジュアルなお店なら、席についてメニューを渡されたあと、「ご注文がお決まりのころにおうかがいします」といって店員は離れていくでしょう。

 その後、店員は他の仕事をこなしつつも、客の様子をうかがい続け、客がメニューから視線を離してスマホをいじりはじめたり、窓の外を見始めたタイミングで、すぐさま注文をとりに向かいます。遅すぎても、早すぎても客に怒られます。

 では、高級フレンチのレストランではどうでしょう?

 私たちが調査した店では、客はテーブルに座らされたあと、一度引っ込んだ店員がまた出てくるのをひたすら待たされます。そこそこ待ったあと、再度訪れた店員は、ワインリストを渡してくると、「さあ、何を飲みますか。さっさとご注文をどうぞ」とばかりに、そのまま立って待っています。客はおちおちワインを選んでいられません。客をさんざん待たせる店員ですが、自分は待たないのです。