いつから1日3食になったのか?
庶民が1日3食になったきっかけは、江戸時代の「明暦の大火」(1657年)という説があります。
焼失した江戸の町並みを復興するため、江戸幕府が全国から大工や職人を大勢集めて、朝から晩まで急ピッチで働かせました。
このときに従来の朝食と夕食だけでは体力が持たなかったため、昼にも食事を出すようになり、1日3食の習慣が広まっていったといわれます。
全国的に1日3食が定着したのは、明治維新後に軍隊ができたのがきっかけでした。
軍隊に兵隊を集めるため、1日3食を提供することで「白米が毎日3回食べられる」ことを売りに、貧しい農家の次男坊や三男坊を募集したのです。
その後、1920年に国立栄養研究所が開設されて、初代所長に佐伯矩博士が任命されます。
その佐伯博士が栄養士制度を発展させるため、1924年に設立した“世界初の栄養学校”が、前出の佐伯栄養専門学校。日本で1日3食が積極的に奨励されるようになったのは、1935年にその佐伯博士が提唱したことに始まるとされています。
イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国では、日本の戦国時代にあたる15~16世紀頃に、それまでの1日2食から1日3食に移行したとされます。
朝食は英語で「breakfast」ですが、1日の最初の食事=断食(fast)を破る(break)を意味していたのが転じて朝食という意味になりました。
必ずしも朝起きたタイミングで食べていたわけではなく、当初の「breakfast」は日本の貴族たちと同じように、ひと仕事終えたあとの正午頃に食べていたのかもしれません。
いずれにせよ、日本でもヨーロッパ諸国でも1日3食の歴史は、ごく浅いことに変わりありません。
1日3食が規則正しい食生活の基本であるという主張は、こうした歴史的背景を無視した根拠のない幻想にすぎないのです。
こういう歴史的事実を知れば、1日2食がなんらおかしなことではないと納得していただけるでしょう。
(次回へ続く)