コンサル大解剖Photo:enjoynz/gettyimages

国内発のコンサルティングファーム、ベイカレントは爆速成長を遂げてきた。直近の2025年2月期中間期も計画通りに着地するなど順調な成長軌道を維持している。しかし、決算の中身を見てみると、主要指標に「濃淡」が出ている。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、ベイカレントに生じた変調を解説。9月にITサービス事業会社を発足させた狙いも分析する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

ベイカレントの売上収益は2割増
計画通りも主要KPIには「濃淡」

 上期業績はおおむね計画通りに着地――。国内発のコンサルティングファーム、ベイカレントが10月に公表した2025年2月期中間決算(24年3~8月期)では、売上収益は前年同期比23.7%増の540億円だった。収益性を示すEBITDAマージン(売上高に対する利払い・税引き・償却前利益の比率)は34.4%となり、計画の範囲内に収まった。

 上期の売上高の進捗率は、例年と同水準となる47.0%。同社は季節要因などで下期偏重となる傾向があり、計画通りの進捗といえる。25年2月期通期の売上収益の計画は前年同期比22.5%増の1150億円で、売上高は初めて大台の1000億円を突破する見込みだ。

 同社は外資系やビッグ4など総合系ファームと異なる強みを生かして、高成長を遂げてきた。中でも、急成長の原動力が、コンサルタントを中心とした人員体制の急速な拡大だ。15年2月期末に919人だった従業員数は年々採用ペースを加速し、24年2月末にはコンサルタント数は3837人にまで膨張した。今期も積極採用を続けている。

 一見、順調な成長軌道を描いているようだが、実はやや変調の兆しがある。SBI証券でベイカレントをカバーするアナリスト、津村知生氏は「トータルの数字は計画通りで順調だが、主要KPIに『濃淡』がある」と指摘する。これまで2桁成長を続けてきたベイカレントだが、足元の状況は盤石とは言い難いのだ。

 主要KPIに異変が出ながらも同社の中間決算が計画通りに着地したのは、ある指標がたまたま好転したからに他ならない。次ページでは、ベイカレントの主要KPIに生じた異変に加え、計画通りに着地した要因を解説する。

 また、同社は9月にITサービス会社、ベイカレント・テクノロジーを発足させている。下流であるIT実装を強化することでアクセンチュア化を目指すことになるのか。同社が新組織を立ち上げた狙いについても分析する。