オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列#22Photo:PIXTA

「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#22は、陸運26社の業種別ランキングをお届けする。4位に東武鉄道、3位にセイノーホールディングスが名を連ねた。果たして1位は?(ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)

日本のインフラを支えてきた陸運業
「最強」のオーナー企業は?

 トラックや鉄道などの手段により、陸路で物品を運ぶ陸運業。オーナー企業といえば中小や零細企業に多い印象を持つかもしれないが、業界では長い歴史を持つ大手企業も目立つ。

 私鉄大手の東武鉄道は、「鉄道王」と呼ばれた根津嘉一郎氏(初代)が築いた根津財閥が前身で、歴史は明治時代にまでさかのぼるご長寿オーナー企業だ。

 1905年に初代社長に就いた嘉一郎氏(初代)は30年以上トップを務め、4代目社長の嘉一郎氏(2代目)は41~94年と実に50年以上も務めた。創業家の人間が長期間トップを務めることが多かった東武鉄道だが、23年に嘉一郎氏(初代)の孫である嘉澄氏(現会長)が24年間務めた社長を退任し、創業家出身ではない都筑豊氏が社長に就任した。

 全国に輸送ネットワークを持つセイノーホールディングス(HD)も歴史の長いオーナー企業だ。

 同社は30年に田口利八氏(現名誉会長)が岐阜県で起こした田口自動車に始まる。西濃トラック運輸を設立し、事業展開を図った矢先に国家総動員法に基づく戦時陸運統制令により集約合同されることになった。終戦後、戦時統合が解かれ事業を再興し、55年に西濃運輸と社名を変更した。

 創業家が社長を歴任してきたが、利八氏の孫で4代目社長の義隆氏が在任中の2005年に持ち株会社体制に移行。現在のセイノーHDに社名を変更し、義隆氏は現在持ち株会社の社長を務めている。中核子会社の西濃運輸では24年から高橋智氏が社長を務めている。

 ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。

 ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。

 下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。

 次ページでは、陸運26社のオーナー企業ランキングを一挙に公開する。東武鉄道は4位、セイノーHDは3位にランクインした。では1位は?