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中小企業庁が、一部の報道機関が報じた記事の“火消し”に躍起になっている。
その記事とは「中小融資100%保証廃止」というもの。リーマンショックに端を発して業況の悪化した中小企業を対象に、金融機関による融資を信用保証協会が100%保証する「緊急制度」が、2012年度中に廃止される方向になった、と報じられた。
これに中企庁が猛反発。「誤報」と断定した記事解説の文書を作成し、庁内関係各部署をはじめ、中企庁を所管する経済産業省の上層部にまで配って回ったほどだ。
実際には、現時点の対象である全82業種を1118業種にまで細分化、細かく業況を判断しながら、最終的には経産省が“出口”を見極めるとする。だが本音では、「多くの中小企業の資金繰りは改善していない」(中企庁関係者)と、出口の見極めにすら消極的なのだから、過剰反応したのも無理はない。
かくも中企庁が煮え切らないのは、今が解散総選挙の現実味が増す時期だからである。ここで中小企業対策が廃止となれば、中小企業を味方につけたい一部の政治家が騒ぎだす。経産省も同じ理由で後ろ向き。「廃止の動きに必死に抵抗している」(政府関係者)という。
しかし政府内は経産省を除き、危機対応措置からの脱却を目指すことで合意している。
具体的には、(1)金融庁の「中小企業金融円滑化法」、(2)厚生労働省の「雇用調整助成金」、そして(3)この「信用保証制度」の廃止だ。
ただ、このうち(1)は13年3月末の終了が決定、(2)も「水面下では厚労省が近く終了する覚悟を決めた」(政府関係者)。残った(3)には、経産省の終了の決断に“待ったなし”の圧力をかけている。