未病領域事業で1000億円規模の売上収益を目指す

 現在プラズマ乳酸菌だけではなく、さまざまな案件についての研究が着々と進んでいます。長期経営計画の最終年度の2027年度までには、プラズマ乳酸菌関連で約200億円、未病領域事業全体で約1000億円規模の売上収益、20%の事業収益率を目指します。19年はこうしたゴールに向けて、いろいろなものを見つけてきて土台を作る年となります。

 こうした長期の計画を立てるのは社長の専管事項です。医薬も1980年代から始めて、ようやくものになりました。未病領域の事業は、研究所、ヘルスサイエンス事業部、先日協和発酵キリンから95%の株式を取得した協和発酵バイオが担当します。同社を孫会社ではなく直接キリンHDの傘下に置くのはこの事業のためです。同社は味の素と並び、発酵バイオ事業の両巨頭の一社。活用しない手は無い。

 じつは、飲料と医薬と、今後の未病領域に対しての打ち手を持つキリンの事業ポートフォリオは、世界でも他に例がないのです。ABI(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)のカルロス・ブリトCEOからは「キリンが羨ましい」と言われました。「過去はビール1本で強いことが最良だと思っていたのだが、バドワイザーの売り上げがアメリカでここまで落ちると思わなかった」と。バドワイザーはドナルド・トランプ大統領の支持基盤のラスト・ベルトに代表されるような、中西部の農業地方のブルーカラーの顧客にしかもはや飲まれていない。一方、東海岸や西海岸の人はクラフトビールなり別の飲みものを飲むようになっている。

――ABIは寡占化したビール業界の世界首位企業でした。絶対の強みを持つと見られていたビジネスモデルが逆転することがいろいろなところで起きている。