“教訓”を得るにも時間差が出たということかもしれない。2018年度のビール各社の決算は、ここ数年大型M&Aを活発に行ってきたサントリーホールディングス(HD)、アサヒグループHDと、逆に封印したキリンHDとの間で、明暗が分かれた。
サントリーHDは、12年度以来6期ぶりとなる連結営業減益となった。主因は連結売上高(酒税控除後)の57%を稼ぐ、大黒柱の飲料・食品事業の大苦戦にある。
まず、13年に飲料事業会社のサントリー食品インターナショナルが約2100億円を投じて買収した、英グラクソ・スミスクラインの飲料事業の不振である。さらに09年に買収した仏オランジーナ・シュウェップス(現サントリーシュウェップス)がスペインで販売する飲料の販売不振や、16年に買収したナイジェリア事業の不振によって、今回は約40億円の減損処理を余儀なくされたのだ。
さらに、日本コカ・コーラを抜いて国内飲料首位になる、と鼻息が荒かった国内事業も、増収したにもかかわらず、8.1%もの営業減益に終わった。