弁護側は1審の筧被告の様子について「同じ話を何度も繰り返している」と説明し、弁護活動にも支障が出ていると主張。初公判前に「訴訟能力に問題なし」と鑑定した医師も「認知症の専門家ではない」として、信用性について「極めて低い」と訴えた。

 検察側は鑑定結果などを基に「訴訟能力があったことは明らか」として控訴棄却を求めた。樋口裁判長は公判を停止せず、再鑑定も却下。弁護側の異議申し立ても棄却した。

遺産相続10億円

 発覚から長時間が経過し、概要をお忘れの読者もいると思うので、概要を控訴審判決でご紹介したい。

 まず、前提として控訴審で殺人・殺人未遂の罪が認定されたのは4人だが、筧被告が結婚相談所などを通じて結婚・交際した6人が出会ってから数年で死亡していたのは客観的な事実だ(警察の捜査)。

 筧被告が望んだ交際・結婚の条件は「年収1000万円以上の資産家か経営者」。結婚は4回で、死亡した3人は2~4回目の相手だった。ほかの3人はいずれも内縁関係で、生前、筧被告に遺産相続を約束する公正証書を作成していた。

 こうして相続した遺産は約10億円に上る。

 今回の判決では、遺産相続した事実は罪に問われていない。新聞・テレビは判決内容まで詳細に伝えていないので、ここでお伝えしたい。

【事件性等】4人の血液から青酸成分が検出され、青酸以外の物質では説明できない症状を起こしており、死因と急変は青酸化合物の中毒と認められる。事故や自殺の可能性もない。一般人が入手困難な青酸化合物を所持し、犯行可能な時間帯に被害者と一緒だった。捜査段階や公判で犯行を認めている。