いたわりの言葉すら
かけられなかった妻の逆襲

 夫との死別後に姻族関係を消滅させるケースはここ最近、増加傾向にあります。A子さん(50歳)もその一人。2年前に夫をがんで亡くしました。

「商社勤務だった夫は、一昔前でいえば仕事人間のモーレツ社員でした。夜は遅くまで残業、日曜日は接待ゴルフ。ストレス発散だと言いながら土曜日は朝早くから趣味の釣りに出かけ、家にいることはほとんどなかったように思います。

 家族は子どもが1人。夫の父(80歳)と同居していました。義父は重い糖尿病を患っており要介護状態でしたが、親の世話をするのは妻の役目と言わんばかりに義父の面倒を私一人に押し付け、夫は何一つ手伝うこともしませんでした。

 何度も離婚を考えましたが、せめて子どもが大学を卒業して自立するまでは我慢しようと思っていた矢先、夫が突然がんと診断され、2年の闘病生活後に51歳で亡くなりました。

 その間、夫の看病・義父の世話で私自身も何度か体調をくずしましたが、夫側の親族は見て見ぬふり。私の実家の援助を受けながら、子どもと2人で何とか乗り切ったという感じです」

 A子さんは夫の死後も義父の面倒を見るのは自分の義務だと思い込んでいて、パートで働きながら世話を続けていましたが、ある日、「姻族関係終了届」なるものを役所に出すことで姻族関係を消滅させることができることを知ります。

 しかも、姻族の了承をとる必要もなく、自分の意志で決めることができる…。

 通常の離婚の場合、「離婚届」を提出することで、配偶者やその親族との関係を断つことができますが、夫婦のどちらかが死亡した場合には、配偶者との婚姻関係は終了したとしても配偶者の親族との関係は終了しないため、例えば義理の親の扶養義務などは残ることになります。

 それを断ち切ることができるのが「姻族関係終了届」なのです。