前田道路の今枝良三社長はオアシスとの関係を「敵対的ではない」と説明している。しかし、アクティビストの手法を警戒する大手ゼネコン幹部は「短期利益の獲得が目的である人々の要求を受け入れるのはガバナンス強化につながらないのでは?」と疑問視する。現状、オアシスが前田道路株を短期間に売買して利ざやを得る動きは出ていない。

 アクティビストは事業の根幹にかかわる事業構造の変革を求めることもある。過去には、13年に米ヘッジファンドのサード・ポイントがソニーにエンタテインメント事業の分離・上場を求めたり、米サーベラスは06年に出資した西武ホールディングスの再建を支える中で経営陣の交代要求や鉄道の不採算路線の廃止などを求めた。

 いずれも要求は叶わなかったが、前田道路もそうした要求への警戒は欠かせないだろう。

奥村組や安藤ハザマにも物言う株主

 アクティビストによるゼネコン株買いは他社でも起きている。

 前田道路株を取得したオアシス・ファンドは、準大手の安藤ハザマの株も数パーセント保有。安藤ハザマと定期的なミーティングを開いて報告や助言を行っているという。また、安藤ハザマに対して6月の定時株主総会において株主提案権を行使することを書面で通達し、通達について公開するように求めた。

 提案内容は、安藤ハザマが施工していた工事現場で火災死亡事故が17年6月と18年7月に相次いだことを受け、定款の一部に「安全衛生管理の徹底」を入れる変更を求める内容だった。これに対し、安藤ハザマは、会社組織に関する規定である定款の性質に合わないことと、安全衛生管理はすでに対策済みであるとし、取締役会で提案を拒否することを決めている。公開された要求は、安全衛生についてだけだが、例えば配当の増加など他にも要求している可能性がある。

 また、シルチェスターは2007年以降、関西の準大手ゼネコンである奥村組の株取得と売却を繰り返し、直近も買い増しをして、7.06%を大量保有している(大量保有報告書5月22日受付)。