その治療法たるや極めてユニークだ。若鳩の肛門を子どもの肛門に押し当てる、というのである。想像してみてほしい。痙攣発作をおこしている子どもの肛門に、鳩の肛門をおしあてているシーンを…。治療者は真剣だろうけれど、なんだかかわいくないですか?

 しかし、こんな方法で治ることがあったというから、訳がわからない。さらに不思議なのは、よくなった場合は、どうやら鳩が疲弊して死んでしまったらしいことだ。いやはや、なにがどうなっているのか理解不能だが、おそらく子どもの熱性痙攣か何かだろうから、ほうっておいてもおさまることも十分に考えられる。ただ、どう考えても、鳩が死ぬ理由はわからない。医者が気合いをいれて握りすぎて、鳩があわれ圧死でもしたんだろうか。

自分で尿道にヤスリを入れて
膀胱結石を削って治療?

 こちらはあまりかわいくないが、もうひとつのお気に入りは<膀胱結石の破壊について>の論文。なんら変哲のないタイトルだが、内容はすこぶるユニーク。なんと、自分で尿道にヤスリを入れて膀胱結石を削って治療したというのである。すごすぎるやないですか。

 東インド会社で大佐を務めていたフランス生まれのクロード・マルタン。この男、ただ者ではない。その経歴がちゃんとウィキペディア(英語版)でも結構長く紹介されている。軍人としてだけではなく、建築家、地図制作者、行政官としても活躍し、インドのヨーロッパ人として最も財をなした成金であった。そして、自分で自分の手術をした男としても知られている。

“結石の治療は誰でも自分でできると確信している。別にそれほど器用でなくてもできる作業なのだ。が、他人にやらせるのは不可能だと思う。というのもどこが痛むのかは患者自身にしかわからない。-中略- ヤスリはとても小さい(厚みは麦わら一本以下だ)ので、結石と膀胱の壁の間に簡単に挿し入れることができる。ヤスリをかけるときは、半インチ(約1.3センチ)以上は動かさないように注意したほうがいい。”